線路沿いの家の解説。


「線路沿いの家」コンセプト

六角川沿いの山に囲まれた静かな景色に心奪われた私たち。そんな私たちに印象的に響いたお施主さんの「私たちにはただの見慣れた景色。遮るものがなく夏は暑くて仕方がない。」という言葉。そこでこの「見慣れた景色」をどう切り取り、夏の暑い日差しをどう遮るかが課題となりました。
中庭に屋根を設け、真ん中を一部くり抜くことで、夏は日射を遮り、冬は心地よく光を取り入れることができました。中庭にしたことで大きく空間も得られ風も抜けて快適な暮らしが実現できました。中庭の外壁を額縁とすることで景色を切り取り見慣れた風景を特別なものとして眺められようにデザインしております。その適度に開かれた中庭でご近所さんたちとの交流もとても楽しみな時間となりました。
和モダンな雰囲気が好きなご主人と、色にまつわるお仕事をされている奥さまの要望を取り入れて、ご両親との2世帯の住まいに仕立てました。北側の遠くの天山山地の山の稜線に逆らわず、緩やかに馴染むようにデザインした大きな片流れ屋根の外観は、このダイナミックな風景に溶け込み、あたたかく家族を守り包み込んでくれています。

以前は敷地内の築20数年のご実家に同居されており、今回新幹線の計画に伴う線路拡張で、建物が境界にかかりました。2019年の3月までに撤去する条件で敷地内に建築することになりました。
今回設計する中で、断面計画に一番時間をかけました。敷地と背景の山々との調和を考えてできるだけ低く緩やかな片流れを検討しました。低くすることで吹き抜け空間も程よい高さに納まり、空調効率も程よくなるように計画しました。2階の天井が低くなることで吹き抜けから1階に意識が向かい家族とのコミュニケーションが図れるよう工夫しました。廻り階段を上がり切ったところで中二階を作りさらにボリュームを抑えることに成功しています。中二階床部分は床板を1階の天井化粧材と兼用しさらにコンパクトに納めております。

内部の仕上げの木材使用については、特に玄関のカマチとベンチは、以前の住まいの踏板を生かしどりし再加工して設置しました。時代と共に循環する木の耐久性と経年変化をしながらも美しさを保つ木の素晴らしさをここで表現しています。リビングには無垢のオーク材を採用し木の暖かな肌触りを重視して各個室はコストを抑えるために複合フローリングをバランス良く採用しています。
中二階床部分の床板は杉の無垢材で40ミリの厚みとなっており、1階の化粧天井板と兼ねて構造美を見せることで、木の強度を生かして構造的にも強くデザイン的にも美しくコンパクトに納めることができました。スケルトン階段のササラと手すりは木製ですが、アイアンペイントを施すことでスチールの様な仕上がりになり、木のコストバランスの良さと加工のしやすさを生かしてコストを押さえながらハイブリッドなデザインとしています。骨格となる木構造は杉材を採用し筋交い計算だけにとどまらず木造の構造専門家による立体的な許容応力度計算まで行うことでより安全で耐久性を高めた構造を実現しております。

野菜作りの畑とともにお父さんの毎日の楽しみの庭づくりは、息子さんとあーでもないこーでもないと話し合い進めているそうです。家と共にこれからの成長ぶりが楽しみでなりません。

エムデザインスタジオ 宮﨑洋

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by h-miya29 | 2021-03-31 15:37 | OPEN/竣工

佐賀の小さな建築家。ミヤザキヒロシblog


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